プロジェクト / 企画プロジェクト

SusHi Tech Tokyo 2024 × FOOD

東京都

#イベント #カルチャー #食

Eat Better
よりよく食べるってなんだろう?

東京発のイノベーションを創出し、
未来の都市モデルを発信することを目指し
東京都が東京ベイエリアで開催した大型イベント、
SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム。
私たちが考えたフードのコンセプトは
「Eat Better」。
さまざまな食コンテンツを通して、
自分にとってのEat Better、
より良く食べることについての体験や気づきを
企画・実施しました。

プロローグ

TOKYOが、
よりよい未来を
考える日

持続可能な都市を高い技術力で実現し、都市課題の解決に向けた挑戦や東京の多彩な魅力を、「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」として国内外に発信する東京都によるプロジェクト。

この一環である「SusHi Tech Tokyo 2024」は、東京発のイノベーションを創出するとともに、未来の都市モデルを発信する、50万人の参加を見込む大型の国際イベントで、「グローバルスタートアッププログラム」と「シティリーダーズプログラム」、そして広く市民が未来の技術に親しめる「ショーケースプログラム」という3つのプログラムを同時開催しました。

「ショーケースプログラム」は、有明アリーナ、日本科学未来館、シンボルプロムナード公園、海の森エリアの4つの会場で、”見て“、”触れて“、”聞いて“、”味わって“――「自然」と「便利」が融合する”2050年の東京”を体感できる一般向けプログラムを実施。

この「ショーケースプログラム」の枠組みの中で「食」は重要な要素。

全エリアを横断して「食」のコンテンツを配置するにあたり、食についてトータルディレクションする役割としてオレンジが担当させていただきました。

メッセージは
Eat Better

最初に考え方を書いてみた企画書です。

・東京は世界が注目する食の都であり、星の数が世界一多い都市
・意識の高い料理人、食の知見者・研究者、食の先端企業が集まっている街
・全国各地の最高の食材が集まってきて受発信や競争・共創のあるマーケットプレイス
・東京の地産地消/自給率は0に近いですが、全国各地の食に興味を持って消費する圧倒的な食べ手がいる大都市

という認識が日頃からありました。

その一方で、自分の日常の周囲を見てみると、世界的に大きな問題となっている「食の社会課題」については、食業界の方々が取り組み、発信している一方、一般市民レベルになると、あまり注目されていない、自分ごとになっていないとずっと感じていました。

東京都が旗を振り、多くのステークホルダーと都民を巻き込むイベント「SusHi Tech Tokyo 2024ショーケースプログラム」であれば、食の未来をテーマに意義のあることができるのではないか、ぜひやってみたいと思いました。

そこで、最初に提案したメッセージが「Eat Better」です。

わたしたちは生きるために毎日食べています。

食とは、生きることの根源であり、
人とつながる喜びであり、幸福をもたらしてくれるもの。

世界はいま、食の未来に向きあっています。
おいしくいただく、をずっと持続するため。
母なる地球の恵みをたいせつに守りながら、

よりよい食べもの、よりよい食べかたにシフト。
未来を向いて「いただきます」といえるくらしをつくる。

だからいまこそみんなで、Eat Betterです。
さあいま、東京から。

*会場で配布したブックレット「Eat Better」より(PDFはこちら

食の多様なメンバーたち
によるフードセッションズ

メッセージが決まり、有識者として著名シェフに多くのアドバイスをいただく体制を整え、各エリアのコンテンツづくりに入りました。

食のフィールドを見渡すと、循環を大切にするシェフたちのような「サステナビリティ志向」と、企業・大学・スタートアップなどの「フードテック志向」とがあり、根底の思いは共通ながら交わることが意外と少ないという意見も聞きました。

そこで、「SusHi Tech Tokyo 2024ショーケースプログラム」において「Eat Better」を実現するにあたり多様な仲間集めを行いました。

・次世代料理人プロジェクト「RED U-35/CLUB RED」の本岡将さん(restaurant KAM)、清藤洸希さん(枯朽)
・食の領域で多様なサービスを展開するイートクリエーターのシェフ・森枝幹さん
・海の未来を考えるシェフ達の集団「Chefs for the Blue」
・食×音楽をテーマとしたライブパフォーマンスイベント「EATBEAT」(堀田裕介さん、ヘンリーワークさん)
・味覚に関する調査・研究及び普及活動を行っている「日本味覚協会」の水野考貴さん
・食の社会問題を経済学の視点から探究する早稲田大学准教授の下川哲さん
・大学を休学して活動している環境活動家の露木しいなさん
・至高のおいしさをサステナビリティの視点から追求し、世界から注目される三つ星レストラン「L'Effervescence 」シェフ・生江史伸さん

その他、食品メーカー、食や農のスマート企業、食イベント運営チームなどに呼びかけ、協力していただきました。

さらに、移動販売のキッチンカーの方々にもお声がけして参加してもらうことにしました。
キッチンカーも多種多様ですが、環境配慮やSDGs、サステナブルフードなどを掲げてそれをメインメニューにしているキッチンカーの方々が実はたくさんいることは今回発見でした。

イベントを終えて、次の
Eat Betterへ

制作したブックレット「Eat Better」の中から、一部抜粋します。

早稲田大学の下川哲さんには、「〈人+技術+社会〉で日本の食をおいしくサステナブルに」というコラムを執筆していただきました。
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伝統の味を伝える老舗店が閉店すると聞いて、閉店を惜しむ客が殺到した、というニュースをたまにみかけます。閉店の理由は後継者の不在や建物の老朽化などですが、客はそのような見えにくい問題には閉店直前まで無関心です。そして、客に見えるほど問題が悪化した頃にはもう手遅れなのです。

同様のことが、日本の食でも起こっています。たとえば、「老舗店」は「現在の農家」、「後継者」は「将来の農家」、「建物」は「自然環境」、「客」は「消費者」と言えます。つまり、農家や環境の問題は消費者からは見えにくいため、無関心な人も多いのですが、消費者が気づくほどの悪影響が出る頃にはもう手遅れということです。しかし、食の重要性を考えると手遅れでは困るのです。(抜粋)
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より良い未来を実現するべく食の可能性を拡張してきたシェフ、生江史伸さんには、自身が考える「Eat Better」とは?を伺いました。
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「食」は生命維持に欠かせないものであり、生活を彩る喜びの源泉でもあります。だからこそ、そこに込められたメッセージには、大きな共感を呼ぶ可能性があるはずです。そこで重要なのは、心身の健康のため、そして地球の健康のために、私たちは何を支持し、何を選択すべきかを考え行動に移すこと。それこそが「Eat Better」です。

日本の人口の約1割を抱え、日々猛烈なスピードで新陳代謝を繰り返す世界有数の大都市・東京においてこそ、より良い選択の積み重ねは大きな変化を起こすドライブを生み出すはずです。そしてそのインパクトは日本国内のみならずアジア各国、そして世界へと波及するでしょう。「Eat Better」を東京から発信していくことにはとても大きな意味があるのです。(抜粋)
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東京都が手がける「食のイベント」として、こういうメッセージ性を持ったものは過去あまりなかったのではないでしょうか。
「SusHi Tech Tokyo 2024」の食の考え方を掲げたことで、東京都としてやる意味が明確になり、とても意義があったと感じましたし、手応えも感じました。

「食」は美味しいし、楽しいし、人を惹きつけるものであるので、そのパワーを活かしながら、もうひとつの大切なメッセージを伝えることを今後もやっていけたらと強く思いました。

このイベントは第一歩。
次につながる、継続するような動きを模索し、「食」を通じてよりよい未来に貢献できればと考えています。

Client:東京都 / 読売新聞 / MAGNET Inc.
Project Manager:内田真哉
Director:吉岡太郎

SusHi Tech Tokyo 2024 HP
SusHi Tech Tokyo 2024ショーケース HP
Eat Better (PDF)
Eat Betterパネルディスカッション(YouTube)

実施時期:2024年4月27日〜5月26日

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