プロジェクト / 企画プロジェクト

Open Winery Yamanashi

文化庁

#ソーシャルデザイン #地域 #旅 #日本文化 #食

ワイナリーをひらく。
風土と文化がひとつになる
極上ペアリングダイニング

文化庁が公募した「観光再開・拡大に
向けた文化観光コンテンツの充実事業」。
オレンジでは日本ワインの発祥である「山梨ワイン」
をテーマに、ワイナリーという場を創造的活用する
「Open Winery」を企画。
地域の多様な人々と手をつなぎ、
第1弾のトライアルイベントを実施しました。

プロローグ

山梨ワイン
日本一の可能性
いくつかの課題

2021年度、2022年度に公募された、文化庁による「観光再開・拡大に向けた文化観光コンテンツの充実事業」。
高付加価値旅行層の取り込みも見据えて文化施設や文化資源の高付加価値化を図ることが重要となっていることを踏まえた、実験的な取り組みを募集したものです。

とあるきっかけからお声がけをいただき、INCLUSIVE株式会社と共同でこの事業への提案を行い、採択されたのが本プロジェクトです。

私たちが着目し提案したのが、「山梨ワイン」。

「ワイン県」をうたう山梨県は、日本ワイン発祥の地です。1874年にワイン造りが始まったとされています。ワイン生産量は全国の約30%を占め日本一、ワイナリー数も約80社で日本一、ブドウは甲州とマスカット・ベーリーAという日本を代表する品種をもつ。

一方で、近年全国各地で個性的な作り手のワイナリーや、デザインされたワイナリーなども続々誕生し、それぞれ観光資源になっている中、山梨県には課題がありました。

ワイナリーは数多くあるが、ワイン×観光のアピールがあまりうまく行ってない。ワインはある一方で食のイメージが薄い(同時に楽しめるようなガストロノミーレストランがあまりない、シェフたちの横のつながりもあまりない)。さらにラグジュアリーな宿泊施設も少ないのが現状。ワイナリーを訪問したとしても単発、日帰りという課題が見えてきました。

企画したのは、
かけ算が生まれる
「オープンワイナリー」

考えたことは、「ワイナリー」というリアルな接点です。

外から見て、「ワイナリーがある街」ってとても魅力です。それを目当てに小旅行にでかける人も多い昨今です。
たぶん見せられないところも多々あるんだろうと思いつつも、遠方から訪問しても意外と滞在は短時間で、見学なども部分的に触れるくらいで、あとは買い物をして帰るというのが通常の流れだったりします。もうちょっと堪能したいというのがワイナリー客の正直なところ。

ならばほんのひと時、イベントの時だけでも、表も裏もワイナリーを開放して、普段できないことをやってみてはどうか。そこには、ワイナリーの人たち、外の人たち、シェフやソムリエだけでなく、地元のクリエイター、ミュージシャン、アーティスト、同業他社の人なども集うことで新しい交流を生み出す。

ワインと料理を合わせることを「ペアリング」と言いますが、ワイナリーと普段交差しないような多種多様なヒト・モノをペアリングしてみることで、ワイナリーの可能性や地域の新しいカルチャーを醸していくことにつながるのではないか?と思ったのです。

一般の人に門戸を開いて、施設について知ってもらう言葉、「OPEN CAMPUS」「OPEN HOUSE」などがあります。そのワイナリー版だから「OPEN WINERY」です。

開催は、新酒がでまわる秋、2022年11月5日(土)。

南アルプスや富士山など壮大な山々に囲まれた山梨県・勝沼、そして韮崎。ぶどうとワインのサンクチュアリとも言えるこの地で、ワイナリーと食事だけでなく、山梨ワインのルーツや文化にも触れてもらうことを目的に、日本ワイン発祥の知的好奇心を巡り、山梨ワインを堪能するプレミアムなバスツアー形式としました。

Open Winery Yamanashi 2022
日時:2022年11月5日(土)10:00〜18:00
料金:20,000円(税込)/人
*ワインペアリング付きプレミアムコース(6皿×6杯)、バスツアー、拝観料含む

日本ワイン文化
今と昔を巡る旅

「勝沼ぶどう郷駅」で約50名の参加者をお迎えし、バスで出発進行!

最初は「柏尾山 大善寺」。

1300年の歴史を持ち、国宝に指定されている大善寺は甲州ぶどう発祥にゆかりがあるとされており、別名「ぶどう寺」と呼ばれています。ここでは「ワイン拝観」として、本堂の拝観では、その成り立ちや建物の特徴について住職よりご説明。さらに、住職が自ら醸造したオリジナルワインをいただきました。

次に訪れたのは「宮光園」。

1877年、祝村(現在の山梨県甲州市勝沼町)に日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社」設立。その会社が解散した後、宮崎光太郎氏が醸造器具等を引き継いで創業した宮崎葡萄酒醸造所と観光葡萄園の総称が「宮光園」。当時日本ではワイン作りの技術は乏しく、多くの人が失敗に終わる中で根気強くワイン作りに挑み日本ワインというブランドを確立させたのが宮崎光太郎氏です。

ワイナリーの特等席で
風土と文化を味わう体験

最後にたどり着いたのは韮崎市の「マルス穂坂ワイナリー」。

鹿児島に本社を持つ本坊酒造が、ワイン造りの拠点として山梨県笛吹市石和町に「マルス山梨ワイナリー」を設立したのが1960年。迫力ある醸造機械や巨大タンクを目の前に、穂坂ワイナリー(2017年新設)独自のワイン作りの製法について理解を深めました。

その後、山梨県にゆかりのある才能豊かなシェフやソムリエたちが腕を振るうペアリングダイニング。山梨県の食材を活かしたスペシャルコースとともに、厳選された山梨ワインや日本酒を堪能しました。

料理とワインがサーブされる合間には、今回携わったワイン醸造家、生産者、料理人、ソムリエたちが食事をより楽しむための解説。食材のこだわりやメニュー誕生の裏話など、余すことなく語り尽くしました。

今回のトライアルで、山梨が誇る文化資源「ワイン」を真ん中に、あらゆるものと掛け合わせて化学反応を起こすことで、新しい「食」「文化」「観光」のアップデートが期待できると実感しました。

わたしたちが企画・実施するだけでなく、今後は「OPEN WINERY」という旗を地元の方々が自由に使うことで、どんどん新しいチャレンジを自走していって欲しい。そんな想いで企画したものです。目指す先はみんなの「OPEN WINERY」です。

主催:INCLUSIVE株式会社
プロデュース:株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ、株式会社はじまりの食卓
協力:富士急トラベル株式会社、本坊酒造株式会社、中央葡萄酒株式会社、甲州市教育委員会、大善寺、山梨県

>Navigator
宮下 大輔 / 「はじまりの食卓」飲食店プロデューサー
三澤 彩奈 / 「グレイスワイン」ワイン醸造家
>Chef
堀内 浩平 / フリーランス 山梨県内で開業準備中
山田 真治 / 韮崎市「La Cueillette」オーナーシェフ
天野 洋喜 / 忍野村「忍野八洲」店主
岩澤 尚也 / 山梨市「いづ屋」店主
豊島 雅也 / 富士河口湖町「Restaurant TOYOSHIMA」オーナーシェフ
鈴木 信作 / 北杜市「Terroir 愛と胃袋」オーナーシェフ
鈴木 義豪 / 山梨市「LA MAISON ANCIENNE」オーナーシェフ
>Sommelier
長谷部 賢 / 大月市「Wine Cellar HASEBE 長谷部酒店」代表
堀内 茂一郎 / 立川市「SORANO HOTEL」ソムリエ
>Live Performance サイゲンジ
>Design artless inc.

Client:文化庁
Project Manager:内田真哉
Creative Director:吉岡太郎

Yamanashi Gastronomy&Wine

実施時期:2022年11月5日

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