プロジェクト / 企画プロジェクト
LETTER ROOM
フェニックス・シーガイア・リゾート
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#プランニング
#旅
#空間プロデュース
リゾートホテルの片隅に
手紙を書くためだけの部屋
リゾートに訪れた高揚感をそのままに、
未来の自分や大切な人に手紙を書くためのお部屋。
専任のレターコンシェルジュと手紙を書くための文具、
そして専用のポストを設えました。
この場所から投函される毎年1万通以上の手紙を通じて、
ホテルとお客様の物語を紡いでいます。
プロローグ
活用方法が見出せなかった
遊休空間。
フェニックス・シーガイア・リゾートの大リニューアルの中でも、最も活用方法が見出しづらかったのが、この空間でした。アクセスが悪く、よほどの目的がなければお客様が立ち寄らない場所。そこで何をやればお客様が賑わい、意味のあるリニューアル投資になるか?わたしたちのプランニングは、そこから始まりました。
3通りの手紙が出せる
オリジナルポスト
まず考えたのは、リゾートの滞在体験をSNSではなく、お客様自身の言葉と自筆で綴り、身近な人に手紙として伝えるというコミュニケーション空間ができないかという事。
ペン、万年筆、スタンプ…あらゆる文具を取り揃え、本棚にはBACHの幅さんの力を借りて「手紙」に纏わる様々な書籍を並べました。そして、そこに3つの口があるオリジナルポストを設置。一つ目は、「大切な人への手紙」。お客様自身に宛先を記載していただく事で、ホテルが郵送代行するサービス。二つ目は「未来への手紙」。最大20年間、手紙を保管してくれるサービス。再訪した際にIDと引き換えにいつでも取り出すことができます。三つ目は「宛てのない手紙」。誰に宛てたわけでもない詩のような手紙は、定期的に選出したものを額装して、この空間にギャラリーとして展示します。
レターコンシェルジュの存在が
物語を生み出す
このレタールームには、「山下さん」という専任のコンシェルジュがいます。山下さんは、手作りのスタンプを作ったり、子どもたちに手紙の楽しみ方を教えたりしながら、この場所でお客様とのコミュニケーションを作りだしています。例えば、こんなエピソードがあります。ある時、ある男の子が山下さん宛の手紙をくれたことがありました。山下さんがそのお返事を書くと、宮崎から遠く離れた場所で暮らすその男の子と、何往復もの文通が始まったのです。また、「未来への手紙」では、「子どもたちが大人になった時に読んでくれるように」と、タイムカプセルのように手紙を託してくださるお客様もいらっしゃいます。活用方法の見出せなかった空間は、ホテルとお客様とをつなぐ物語の舞台に生まれ変わったのです。
お客様の自筆の手紙が
ホテルにとって究極のDMになる
実は、このレタールームから投函される手紙の切手代は、すべてホテル側が負担しています。つまり、お客様は無償で手紙を投函することができるのです。ホテル滞在を通じて得た感動や思い出をお客様自身の手で綴り、身近な人へ送る。手紙を受け取った人はいつか宮崎に行ってみたいと思う。この循環は、ホテルにとって究極のダイレクトメールになります。このコミュニケーションの考え方が評価され、レタールームは2019年グッドデザイン賞を受賞しました。
Client:フェニックスリゾート株式会社
Executive Producer:軽部政治
Producer:萩尾友樹
Director:堀越彩
Interia Design:George Creative Company
LETTER ROOM
実施時期:2016年8月〜現在