プロジェクト / 企画プロジェクト

桜十字八代リハビリテーション病院 街との共用部

桜十字病院

#デザイン #ブランド #プランニング #地域 #空間プロデュース

街に開かれたこれからの病院、
そのあり方を考える

熊本県を中心に全国展開する桜十字病院が、
八代市の病院をリハビリテーション病院として新装。
新しい病院は、八代市随一のアーケード商店街と
一体化した特殊な立地。
「街と地続きの病院」という最大の特徴を捉えて、
街と病院の共存を表現する
1階フロアのプロデュースを手掛けました。

プロローグ

立地・環境を生かした
新たな病院のモデルケースを

熊本市 桜十字病院の「まってるプロジェクト」を経て、今度は同じ熊本県の八代市に新設される病院についてのお話をいただきました。新たな病院はリハビリテーション専門の病院であり、さらに地域に愛されるアーケード商店街の中にある「街のなかの病院」。まさに、これからの医療のキーワードでもある「地域医療」を体現できる立地です。この病院の1Fをプロデュースするにあたり、「街×人×病院」の新たなモデルケースをつくっていきたいという思いで、プロジェクトをスタートさせました。

知識や経験、そして健康や元気を街とわかちあう

モノも知識も経験も、あらゆるものを人とシェアする時代。新しいリハビリテーション病院が街の中にできることで、「健康」や「元気」も、そこに暮らす人同士でわけあえるようになればと考えました。キーワードは「わけあえる病院」。患者さんのみならず地域の人々が集う場として、病院が持つ知識や町の人達が持つ知恵を共有できる場として、そして、その場を中心に新しい交流が生まれていく場として。それぞれが持てるものを分かち合うことで街全体が元気になっていくことを目指すことにしました。

その象徴となるのが、ガラス越しに商店街に面した「シェアラウンジ」です。微病院と街の共用部として、病院の中にありながら街の空気が流れる場所にしています。地域の方に親しんでいただけるよう、地元八代市で栽培されるい草を使用した畳と、熊本の木材「小国杉」を使った縁側を用意しました。その向かい側に病院のスタッフや街の人々がセレクトする本が並ぶライブラリとともに、用事があってもなくても、ふらりと立ち寄れる場所を目指しました。

「手紙」を書くことが、リハビリテーションの一環にも

熊本市の「まってるラウンジ」にも設置した「レタールーム」は、患者さんやご家族に活用いただくことで、新たなコミュニケーションや患者さんの元気や活気につながっているという嬉しいお話がありました。それを受け、八代の新しい病院にも、おなじく手紙を書けるスペースを設置することに。リハビリテーション病院という環境の中で、誰かに思いを馳せたり、未来のことを考える時間が一つのリハビリになればとの願いを込めています。

同じく1階に設置したカフェで買ったコーヒーを片手にお手紙を書くもよし、読書をするもよし、思い思いの過ごし方で英気を養えるような場所をつくりました。

そこですごす時間と、知を共有する場

また、設計やインテリアにとどまらず、この場所が病院と街をつなげるハブとなっていけるように、病院から発信する「ラジオ番組」を、おまけの企画として提案しました。八代市のコミュニティFMとタッグを組んで、入院する患者さんからのメッセージや楽曲リクエストを受けたり、医師がそれぞれの専門的な知識を活かして健康に関するトークをしたりする「病院が主体的に放送する」番組です。この提案も、実現に向けて少しずつ前に進んでいます。
人が集うリアルな場と、そこから発信される知の共有、それらによって街と病院のつながりがより強くなっていくことを期待しています。

Client:医療法人 桜十字
Executive Producer: 小山薫堂
Project Manager:木村陽一
Planner+Creative Director:新田あずさ
設計・インテリア・デザイン:GEORGE CREATIVE COMPANY

桜十字八代リハビリテーション病院

実施時期:2020年3月

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